第12話「自賠責保険と損害賠償責任の概要」

動車損害賠償保障法により、原動機付自転車(原付)を含むすべての自動車に加入が義務付けられています。

(1)限度額
死亡保険金 3000万円
死亡に至るまでの傷害保険金 120万円
傷害保険金 120万円
後遺障害保険金 75~4000万円

(2)請求方法
・加害者請求
加害者(被保険者)が被害者に対して損害賠償金を支払った場合、その支払った金額を限度に請求できる。

・被害者請求
被害者は直接自賠責保険会社に請求できる。ただし、加害者から支払いを受けた部分は除く。

(3)仮渡金制度
被害者の当座の費用に充てるため、死亡の場合290万円、傷害の場合、程度に応じて5、20、40万円を請求できます。
被害者のみ請求が認められる。

(4)内払金制度
被害者が治療中などのため総損害額が確定していない時でも、傷害による損害額が10万円以上(既仮渡金支払額を含む)あることが確認されれば、加害者・被害者いずれからも請求できます。
但し、加害者請求ができるのは被害者に既に支払っていることが条件。


損害賠償責任

自動車による人身事故の被害者を救済するために制定された自動車損害賠償保障法(自賠法)の3条は、「自己のために自動車を運行の用に供する者(運行供用者)」に対し、自ら運転した場合、及び他人をして運転させた場合の双方について、実質無過失責任を課しています。

民法では、故意・過失さえなければ責任を負いませんが、この自賠法によって、運行供用者は、人身事故の被害者に対する責任を、例え無過失でも事実上免れることができません。

このような理由から、自賠責保険は、自賠法3条に基づき、賠償責任者が被害者に対して負う法的責任によって被る損害をてん補する保険として存在します。

・被害者の過失減額
被害者としてのあなたに過失があったとしても、70%以上の過失でない限り、自賠責の賠償金が減額されることはありません。

仮に、70%以上の過失があった場合の減額は、「自賠責保険金支払基準」でご確認ください。

「自賠責保険金支払基準」はこちら
・物損事故は対象外
自賠責保険は、対人賠償のみを対象としますので、物損事故は対象外です。物損事故に関しては、民法が適用されます。

保険金が支払われないケース 支払対象にならない、いわゆる無責事故も例外的にあり、その例がインターネットで紹介されています。


その他規定

①時効
損害賠償責任が生じた時から3年間

②加害者が自賠責保険に加入していなかった場合の政府保障事業
ひき逃げ事故、無保険車事故、または盗難車による事故にあったため自賠責保険の支払を受けられない被害者のために、その損害が社会保険(健康保険、労災)給付や加害者の損害賠償支払い等によって十分にてん補されない場合、政府が必要最低限の保障を図ります。

社会保険の受給資格がある場合は、その請求が優先されます。

また、自賠責と違い、通常の過失相殺に準じて相殺されます。したがって、自賠責と同等の補償内容は期待できません。

③未加入罰則
自賠責保険に未加入の場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に加え、減点6点(免許停止30日間)の行政処分があります。

*自賠責保険未加入で事故を起こしたら
自賠責保険未加入状態で事故を起こし、自分が賠償責任を負った場合、「任意保険で対人賠償無制限を付けているから大丈夫。」と考えたら大間違いです。

任意保険というのは、あくまで自賠責という強制保険の上乗せであって、自賠責の代わりはしません。したがって、本来自賠責で補償する金額を、あなた自身が自己負担しなければならないのです!

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