知っておいた方がよい生命保険の損しない盲点知識

私はかつて損保社員でしたが、保険ほど、知っているか知らないかで損をするかしないかがはっきり分かれる商品もないでしょう。
今回は、そういう重要な盲点知識をご紹介します。

全期前納払いと一時払い

全期前納払いとは、払込全期間分の保険料をまとめて払い込む方法のことです。
払い込んだ保険料は保険会社の預かり金となり、毎年1年分ずつ契約応答日に保険料の支払いにあてられます。
残った預かり金は未経過保険料となります。未経過保険料は、途中で死亡したり保険を解約したときには戻ってきます。
あらかじめ何年分かの保険料を支払うことを前納払いといい、全期前納払いのように「全期」がつけばすべての期間を支払うことになります。

一方、一時払いは、保険料のすべてを前もって払い込んでしまうことです。
全期前納払いと一時払いの違いは、保険期間の途中で死亡したり解約した時に、全期前納払いは未経過保険料が返ってくるのに対し、一時払いは返ってきません。
また、生命保険料控除も一時払いの場合は払い込んだ年だけですが、全期前納払いの場合は毎年控除を受けることができます。
一時払いのメリットとしては、保険料割引率が高いことがありますが、どちらが得かは総合的な判断をすべきでしょう。

告知義務違反と保険金不払いケース

告知義務に違反すると、保険金の支払いのときに拒否されたり、契約そのものを解除されたりすることもあるので注意が必要です。もちろん払い込んだ保険料は戻ってきません。
ただ、保険の契約日(または復活)から2年を過ぎれば、契約解除される心配がなくなる保険会社が多いようです。
かといって、必ず保険金が支払われるというわけでもありません。告知義務違反についての詳細は、契約のときに渡される「ご契約のしおり」か「約款」にのっているので確認してください。
疾病がある場合でも、保険商品によっては、保険料を割増ししたり保険金を減らしたり、または特定部位不担保などの条件をつけることで加入できることもあります。

国民生活センターの統計によると、告知義務に関する相談件数については増加し続けているそうです。最近、テレビのCMでよく流されている医師の審査が不要で誰でも入れる医療保険というものが増えてきたのも理由のひとつだといわれています。
ただし、告知義務違反をしても、保険金の対象となる病気やケガとの因果関係がなければ、保険金や給付金は支払われます。たとえば、中耳炎になったことを告知しなかった場合、骨折になったときに給付金は支払われます。なぜなら、中耳炎と骨折には何ら相関性が見られないからです。

2010年3月までの告知義務は、保険契約者(加入者)が保険会社が定める重要な部分については自ら告知をしなければなりませんでした(自主申告義務)が、2010年4月1日以降は、「質問応答義務」に変わりました。
「自主申告義務」の頃は、保険契約者が重要な部分と認識していなくても、告知しなければ告知義務違反となり保険契約者にとっては不利な内容となっていました。
保険の契約数を増やしたい保険会社側が、保険契約者の健康不安を知りながら黙るように言って契約させたのに、支払う時になって契約者の義務違反だから保険金を支払わないということが続出しました。このため契約者が自己申告する方式から保険会社の質問に答える方式(「質問応答義務」)に改正することで、うそがない限り原則として保険金が受け取れるようにしたのです。

告知書に盛り込まれている質問に、「過去5年以内の健康状態」というのがあります。過去5年以内に、病気やケガで入院したことはないか、手術や治療を受けたことがないか細かく聞かれます。
ですから、病気の経験がある人でも5年経っていれば保険に入れる可能性が高いようです。
告知義務に故意もしくは重大な過失によって違反したことがわかると、保険会社はその保険契約(または特約)を解除することができます。ただし、保険会社が解除できるのは、原則として責任開始日(保障が開始する日)から2年以内となっています。
逆に言うと、2年すぎれば告知義務違反も原則問われなくなります。自殺と同じで2年が時効のようです。
ところが、これはあくまで原則論ですから安心はできません。実は2年経過しても保険会社が保険契約や特約を解除できるとする例外があるのです。
まず、1つ目は、保険金や給付金の支払い事由などが2年以内に生じていた場合です。
例えば、Aさんは2年間給付金の請求をしなければ大丈夫と聞いていました。ところが実際には、2年以内に入院や手術などの支払い事由が発生していれば、給付金の請求をしなかったとしても保険会社はこの契約を解除することが可能なのです。
これだけではありません。特に重大な告知義務違反と認められれば、詐欺による取り消しを理由として解除されることがあるのです。
告知義務違反の内容が特に重大というのは、現在の医療水準では治すことが非常に難しい病気、または死亡する可能性が極めて高い病気にかかっていたり、過去にかかったということを故意に告知をしなかった場合が想定されます。

また、最近は誰でも入れる保険というものもあります。ただ、プラスがあればマイナスがあるのは当たり前なことで、保険金の支払い条件が厳しくなります。
加入するときには、事前に支払条件をしっかり確認することが必要です。

自殺は保険金詐欺か?

警察庁の統計によれば、平成17年の自殺者の数は32,552人で、男性が72.3%(23,540人)をしめています。
年代別で見ると、60歳代が全体の33.5%(10,894人)、50歳代が全体の23.3%(7,586人)、40歳代が全体の16.0%(5,208人)と中高年の自殺が多くなっています。
遺書がある自殺の動機の一位は健康問題、次に経済・生活問題、そして家庭問題、勤務問題の順となっています。

保険会社では、保険を契約してから2年、長いところでは3年以内の自殺には、死亡保険金を支払わないと約款で決めているところが多いです。
これは計画的な自殺による保険金詐欺を抑えるために必要な期間として、自殺を予定して加入したとしても、1年はその気持ちを持続できたとしても、2年はムリだろうというような考え方が元になっているようです。
飲酒運転や無免許運転での事故死の場合も自殺と同様に保険金は出ません。助かった場合も、ケガでの入院や手術の給付金は出ません。
一方、精神病による自殺は自殺に含まれません。その他に、人命救助、職務上の義務、正当防衛、緊急避難の場合も自殺にはなりません。

保険見直し方・選び方情報はこちら →生命保険の9つの大損の罠を避け、堅実なライフプランをナビゲイト

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