生命保険と医療保険は、保障の目的は同じでも、保険商品のタイプが複数あり、かつ保険会社が数多くあるので、比較のパターンも数十種類あることになります。
さらに、特約の種類が多く、同じ名称でも、保険会社によって保障内容、保障金額、支払基準がまちまちです。
したがって、特約も含めて比較しようとすると、比較パターンは無数になり、もういい加減面倒くさくなり、「丁寧に説明してくれるので」という理由で、勧められるものに加入してしまいがちです。
しかし、客観的に比較しないと、「大損の罠」の餌食になります。
ひとつ、わかりやすい比較を紹介しましょう。
医療保険で、設定条件は、加入年齢30歳、普通死亡保険金100万円、終身保障、入院日額1万円(60日型)、手術給付金最高40万円、先進医療特約付です。
この条件で、A社とS生命の終身医療保険を比較してみました。(データは以前のものです。)
A社医療 | 備考 | S生命総合医療 | 備考 | S生命とA社の差 (S生命から見た場合) | |
契約年齢 | 30 | 30 | |||
払込期間 | 終身 | 30年 | |||
保険料払込終了年齢 | 終身(80歳) | 60 | 20年 | ||
契約期間終期 | 終身 | 終身 | |||
普通死亡保険金 | 100 | 100 | 0 | ||
入院額/日 | 10,000 | 1入院60日型 | 10,000 | 1入院60日型 | 0 |
手術給付金=入院日額×10~40 | 40 | 40 | 0 | ||
先進医療特約 | 700 | 実費&後払い | 1,000 | 実費&先払い | 300 |
特約保険料 | 1,432 | 55 | -1,377 | ||
月額保険料 | 5,462 | 8,025 | 2,563 | ||
年額保険料 | 65,544 | 96,300 | 30,756 | ||
保険料支払総額 | 3,277,200 | 2,889,000 | -388,200 | ||
死亡保険金 | 1,000,000 | -1,000,000 | |||
解約返戻金 | 2,230,110 | 69歳時 | 2,230,110 | ||
受取総額 | 1,000,000 | 2,230,110 | 1,230,110 | ||
収支 | -2,277,200 | -658,890 | 1,618,310 |
では、整理して比較してみましょう。
払込期間
A社は終身払込ですが、寿命年齢の80歳で死亡した場合50年間となり、S生命は60歳払込完了なので30年間となります。
先進医療特約
A社は700万円で後払い、S生命は1000万円で先払いです。保険料は、A社1,432円に対して、S生命55円、その差はS生命が1,377円も安くなります。
保険料
月保険料は、A社5,462円に対して、S生命8,025円、その差はS生命が2,563円高くなりますが、払込期間が50年と30年であるため、保険料支払総額で見ると、A社3,277,200円に対して、S生命2,889,000円、その差はS生命が逆に388,200円安くなります。
受取総額
A社は死亡保険金100万円、それに対して、S生命は解約返戻金が最も高い69歳で解約し2,230,110円を受け取ります。
収支
A社はマイナス2,277,200円、それに対して、S生命はマイナス658,890円、その差はS生命のコストの方が、1,618,310円安いということになります。
さて、この比較のポイントは、S生命は解約返戻金が最も高い69歳で解約し2,230,110円を受け取った点です。なぜ解約したかと言うと、解約返戻金が最も高い時に解約して、2,230,110円を医療保障資金として備えた方が得だからです。(この保険では、70歳以降解約返戻金が減っていく設計でした。)

自己矛盾
収支で見たように、A社はマイナス2,277,200円が50年間の医療保障コストです。しかも、80歳を超えて長生きすれば、さらにコストは膨らみます。
つまり、保障を得るために長生きすればするほどコストが莫大になっていくという状況は、リスクが大き過ぎ、自己矛盾そのものです。
それに対して、S生命はマイナス658,890円、39年間の医療保障コストと見た場合、年間平均16,895円となります。具体的に言うと、2回手術入院をしてトントンでしょうか。
医療保険比較と自己矛盾のお話でした。
保険見直し方・選び方情報はこちら → 「生命保険の9つの大損の罠を避け、堅実なライフプランをナビゲイト」
コメント