第4話「損害の発生と加害者の賠償責任」

あなたが交通事故に遭い、被害者としてケガをした場合、それによって失われた利益(=発生した損害)は、通常は加害者が賠償責任を負うことになります。

加害者に対して賠償責任を求めるには、手続き上、交通事故が発生した事実の確認が前提となります。
事実確認とは、事故直後の警察への届出によって行われる、実況見分を経て発行可能となる「交通事故証明書」によって証明されることになります。

ですから、被害者がまずしなければならないのは、“人身事故”の届出です。

“物件事故”ではなく必ず“人身事故”の届出をしなければなりません。

時々あるのが、次のようなパターンです。
追突事故の被害に遭った時、一見軽い事故の態様であれば、事故直後には痛みもなく、病院での受診結果も「異常なし」の場合は、物件事故扱いになります。
しかし、追突事故による所謂「むちうち症(頚椎捻挫)」の症状は、事故から数日後に出ることが珍しくなく、その場合、「診断書」を添えて“人身事故”の扱いに変更しなければなりません。

何故なら、自賠責保険の請求には“人身事故”と記載された「交通事故証明書」が必要だからです。
届出の変更は、警察に事前に連絡の上、「診断書」を持って出向き、再度事情聴取を受ける必要があります。

この届出の変更には、原則、事前に加害者側の同意を得ておかなければなりません。
もちろん、加害者側に同意を拒否する余地はありませんので、実質加害者側への“通知”で事足ります。

ところが、加害者側の保険会社(代理店)が、「人身事故の届出をしないで欲しい。」という対応をしてくることがあります。その理由は、加害者の刑事責任を免れるためです。
また、自賠責保険の請求には、何らかの理由で人身事故の扱いとならなかった場合、「交通事故証明書」の代わりに、「人身事故証明書入手不能理由書」を代わりに提出できることになっています。
加害者側の保険会社(代理店)は、「代わりの書類を提出すればよいので、被害者に不利なことはない。」と説明しますが、この提案を受け入れたらいけません。

「人身事故証明書入手不能理由書」はあくまで救済措置であって、100%人身事故の証明を担保するものではありません。
実際、「交通事故証明書」の代わりに「人身事故証明書入手不能理由書」が提出された場合に、制度上、自賠責保険が100%請求を認める保証はありません。
さらに、示談交渉の段階で、人身事故の扱いではないことを理由に賠償額を減額される可能性もあります。

このように、「交通事故証明書」は、損害賠償請求という被害者としての権利を守る上で、極めて重要な意味を持つ書類となります。

*「交通事故証明書」の取り付け方法

・発行元>自動車安全運転センター

・申請書入手場所>自動車安全運転センター、警察署、派出所、駐在所、保険会社

・申請方法

  1. 郵送
  2. 必要事項を記入した申請書に手数料600円を添えて、最寄の郵便局で申請します。申請後、2週間程度で郵送されます。
  3. 自動車安全運転センター窓口
  4. 必要事項を記入した申請書に手数料600円を添えて、最寄の自動車安全運転センターの窓口で申請します。

「手数料600円は、後で自賠責保険の文書料として請求できます。」

人身事故を証明する「交通事故証明書」によって、同時に、“人的損害”の発生の事実が証明され、加害者は賠償責任を負います。
また、被害者であるあなたに対する賠償は、金銭によって、通常は、加害者自身ではなく、加害者が加入している保険会社が行います。
すなわち、加害者が自動車任意保険(共済)に加入している通常の場合、加害者は加入している自動車保険(共済)を通じて賠償責任を果たすことになります。
また、自ら示談交渉する必要もなく、加入している自動車保険(共済)に示談交渉を代行してもらいます。

ですから、ほとんどの交通事故では、加害者が直接示談交渉することはなく、被害者であるあなたは、示談交渉を代行する、加害者が加入している自動車保険(共済)会社の担当者と交渉しなければなりません。

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